アンコールの遺跡巡りをしていて困るのは、暑さと物売り。
暑いのはしかたないが、モノ売りは暑い中動いていると、だんだんウザく感じてくる。
物売りの多くは、アンコール遺跡のポストカードや写真集である。
「どうしてこんなに安いのに買わないのか信じられない」といわれることが多い。
そこで、私は次のように答えていた。
カメラを見せて、
「私は日本で有名なカメラマンである。だから、買う必要はない。」
相手もそれくらいではひるまず、
「名前は何と言うのか。」
聞いてくる。
私は答える。
「名前はフーテン。」
相手はしばらく悩んで、
「知らない。」
と答える。
そこで、私は言う。
「フーテン。覚えておくように。日本では有名だから。」
大体は怪訝そうな顔をしながらも諦める。
しかしすぐ後、別のものを買わないかと勧めてくる。
さすがである。
このおばさんの横にいた人は、さらにすごかった。
1ドルで私を撮らないかと。
おばさんである。おねえちゃんではない。
お互い笑って撮らずに分かれた。
今から考える撮っておいてネタに良かったと思う。